Kamaseinu-v2

ついにまた自サイトで語る時がきたのだ。

Chicory: A Colorful Tale

アしました。

(!)ここから全てネタバレ配慮なし

あ〜〜〜〜!!!!!めちゃくちゃ好きだ。
久々にぐちゃぐちゃになるほど好きなゲームに出会えて本当に嬉しい。
間違いなく2023年に(私が)やった/やるゲームの中で一番好きなそれになるでしょう…。

Chicoryは配信当時からずっとやりたくて日本語版を待ってたんですが、Switch移植されるときいて、じゃあそっちやったらいいか〜とおもったら続報永遠にこないし、知らない間にSTEAM版は日本語対応してるし、なんかもう日々は忙しいしで全然謎のタイミングでやったんですが、いつやってもこれは大好きになっちゃうだろうな、とおもいました。

 

主人公がチコリーちゃんなのかと思ってたら、どうやらチコリーは前任者らしい。(うちの主人公はアイスちゃん。好きな食べ物を聞かれたから…。ずっと水色にしていた。アイスちゃんだから…。)(ていうか登場人物みんな食べ物の名前だからでてくる食べ物がリングーとかトロ〜リとか架空の名前なの良い〜〜〜)

クリアしてから改めてタイトルを『チコリー』にしたのは本当にすごいセンスだと感じましたが、でもやっぱりタイトルは『チコリー』であるべきだなとも思います。ドラえもんってタイトルだけどのび太が主役、みたいな…。チコリーというでっかい存在がいないと成立しない物語でもあるし、アイスちゃんのチコリーへの想いの物語でもあるから。(ところでなんでラストでパパはチコリーとアイスちゃんが付き合ってるの?って言及したんだろう。そういう作者の意図もあったのかな。わたしは友人という枠を超えたスーパー親友とおもって見ていたので、恋人って発想はなかった。別にそうならそうでいい。)(でもこのゲームそこもすごいっていうか、強さを求めて、とにかく自分を強くみせようとしてた男の人がいきなり自分はバイだと叫んで、これを自分で受け入れることがこんなに大変とおもわなかった、と言ったり、配偶者に虐待をうけた女性ふたりが保護猫活動を通じて恋人同士になったり、唐突に強い『恋愛』をみせられるの、挑戦的というか、そんなの描かなくてもいい部分な気もするけど、やっぱり描かれたことに意味はあるんだろうし、万人がそうであったらいいという世界が意図的に作り上げられてて感度が高いなあとおもいました。)

私もまた絵をかく人間だからこんなに響いたというのはあるのでしょうが、「自分のやりたいこと」「自分のできること」「自分がなりたい/人からそう思われたい人物像」「自分が自分を認めることと人から認められること」と、全てに当てはめることができるテーマで、それと向き合わなきゃいけない人たちの物語だから余計ぐさっとくるところが多かったです。
このゲーム、えふで使いだからアイスを褒めてくれる人と、アイスの描いた絵だからアイスを褒めてくれる人を、恐らく分けて描いていて、そこが繊細でも暴力的でもあるのが本当にすごい。クレメンタインちゃん、すごくできている妹。姉(姉でいいんだよな?)に暴言を吐く友人(たぶん親友ともとれる)の発言を訂正したり指摘してくれる。アイスの絵は良い、すごいよ、感情が伝わる。でもそれってクレメンタインちゃんが本当にアイスの絵をいいと思って庇ってくれたのかな?アイスのこと大好きだから、そんなアイスの描いた絵ならすべて素晴らしいと思ってない?クレメンタインちゃんは何度も妹だから言ってるわけじゃないよ、という。でもそれを証明する術って実はなくて、アイスがアイスとしてその言葉を信じれるかどうかにある。アイスの絵を盲信してる鳥の眼鏡の男の子(名前が出てこない!)、新進気鋭若手えふで使いアイスの一番のファンである自分に酔っているからどこへでもアイスの絵を見に駆けつけてくれてるんじゃないの?ほんとにアイスの絵がいいとおもってる?アイスの絵をいいとおもってる自分がいいんじゃなくて?こんなこと第三者視点のプレイヤーが感じているのだからアイスが感じていないわけがなく。アイスの絵を正当に評価してくれてる(真実が見えてる)のは美術館員でも美術教室の先生でもなく、むしろケチョンケチョンにけなしてくるラディッシュの方なんじゃ?(実際ブラックベリー先生(審美眼強強)にはダメ出しされまくっている)アイスの絵はアイスが描いているけど、実際はプレイヤーが操作しているアイスが描いている。その絵にプレイヤーだって自信はもてていない。なんなら移動速度をはやめるために、適当に全塗り潰しで済ましてる節さえある。そんな適当な気持ちで塗った町をとんでもないテンションで褒めてくるキャラクターたち。感情移入なんて目じゃないくらい、プレイヤー自身もそのプレッシャーを常に感じている。「本当はそんなことおもってないくせに」。そのプレッシャーも、アイスはチコリーが信じてくれるからはねのけられるけど、本当は自分が自分を信じられていないから(プレイヤーがプレイヤーを信じられていないから)、アイスはチコリーのことも信じられない。だからまずは自分で自分を赦して信じれるようにならなくてはいけない。その過程を丁寧に丁寧に何度も繰り返してくれるのが、アイスが全然強くなんかなれていない、むしろチコリーと関わるからこそどんどん弱くなってる(憧れに近づきすぎてその熱でやかれてる状態)からなのかなあとおもうと表現のきめ細かさに震えちゃう…。このゲーム、アイスを傷つけながらプレイヤーをも傷つけてくる。実際、チコリーの引越し先やチコリーの描いてくれたアイスの絵はめちゃくちゃ素敵で、こんなのに私の絵ふでツール使いが敵っているわけないんですよ…ラディッシュの絵もめちゃくちゃ素敵だった。ちょっとオタクっぽいけど(コラ)。カルダモンさんの自画像も優しい絵柄でめっちゃ素敵でにっこりしちゃった。登場するみんな、誰が相手でも敵う気がしない。でも全員個性的で、画一的じゃない。自分が描いた絵が町外れに飾られ、美術館に展示され、チコリーの部屋に居座っているのをみると、なんだかこれはこれで、とだんだんよくみえてくる。ありかもとおもえてくる。そういう心境の変化も楽しめるゲームだったようにも思えます。今になってみると。

 

私はあんまり自分の絵の評価について思うことがないタイプで、もっと見てもらえたら嬉しいかもしれないけど見てもらえなくても描くだろうし、でもそういいつつ見えるところでやってるんだろうし、登場するえふで使いのように強い絵師力(えしぢから)がないタイプなのですが(クレメンタイン型といえばいいのかな)、それでもそうあれる人たちはかっこいいと思うし、頑張って欲しいと無神経に思ってしまうし、何かを押し付けてしまってるんだとおもうとかなり身につまされる物語であったな、と感じました。

いや〜〜〜〜しかしめちゃくちゃよかった。ビジュアルも音楽もやりこみ要素も操作性もセリフもなにもかもがバランスがよかったりバランスを崩したりしながら100点をこえてきている。出会えてよかった。プレイできてよかった。クラファンで完成がかなったゲームということで製作者様、未来をみて投資してくれたみなさまにも感謝!

 

おわり!

Pizza Plushjp.fangamer.com

ところで、かいました。めっちゃかわいかったから。
デフォルト名はピザちゃんなのかな?トロ〜リのお店の看板、クレメンタインと一緒に合作できたの、本当にうれしかった。